こんばんは、小さな会社・小さなお店のコンサルタント今泉武史です。
昨日
「どうして今の仕事をしようと思ったの?」
という質問をされました。
その時に答えたのは、自分がどんな生き方をしてきたから、というスキル寄りのことを話をしました。と、同時に浮かんできたのは、僕は今のコンサルタントという業種を選んだ理由についてです。
僕が今の仕事を選んだのは、両親の影響が大きいです。
独立独歩。自分の力だけで生きていきたい、と思うきっかけがあり、今に至っています。
目次
下請け・孫請け町工場の悲劇
僕の両親は自動車部品の加工会社を営んでいました。
群馬県桐生市の山奥にある工場でしたから、下請けなんかではなく孫請け、もっともっと限りなく下の存在でした。DENSO、カルソニックの仕事もしていました。それゆえに大変な思いをしてきた両親を良く見てきました。
ある日一方的に単価切り下げの通知がやってくる
例えば、ある日突然加工賃の単価切り下げが一方的に決められて通知されます。
話し合いをするとか、そういうことはありません。しかも、末端の単位は円ではなく銭です。そんな通貨単位は今流通してねぇっつーの(笑)
カンバン方式に泣かされた・・・
「カンバン方式」ってご存知ですか?TOYOTAで使われている製品を過不足なく作るための管理方法です。Just in time(ちょうど良い時に)なんて言い方もされています。確かにトヨタでは良い管理方法なのかもしれないですが、まぁ我が実家に求められる対応はひどいものでした。「その管理方法って、棚卸の意味なくない??」と思うようなことが良くありました。
月末月初の仕事の落差が激しすぎる
例えば、月末20日も過ぎると親会社からの納品が絶えます。必要な在庫すら納品されなくなります。つまり商品が作れない。そして、月初の10日間は夜中3時頃まで仕事しないと間に合わないほどの殺人的な量をこなすことを要求されました。仕事の効率を高めるためには、無理・無駄・ムラを無くすことなのですが、まぁ見事なまでに無理・無駄・ムラだらけでした。
ライバルは中国!?
1990年代後半以降からは、日本の製造業は中国シフトが過熱して行きました。安い人件費で運営ができるから、という理由で・・・。つまり両親が戦わなければ家族を養うことが出来なくなります。そして、「銭」単位での加工賃の発注があったり、一方的な単価切り下げがあったりしたのでした。
「下請けなんかに絶対なるもんか!」
そんな両親の仕事姿を見ていて、思ったことは「下請けになんか絶対なるもんか!!」という強い思いでした。そんなことがベースにあったために、僕は大学卒業後はスーパーマーケットで働くことを選びました。
そして、いずれは自分が社長となるときには下請けではなく、お客様と対等の立場で立てるような仕事をしようと思ったのでした。その想いは仕事の中でもあり、クライアントに時々製造業の方もいらっしゃる時があります。
彼らのテーマは「脱!下請け!」です。そのためにオリジナル商品を作って販売する方たちの相談がやってきます。以前2社ほど通販会社にいたため、その時のマーケティング方法を知りたい、実際にオリジナル商品での通販を立ち上げたい、というご相談でやってきます。
自社商品開発で脱下請け!を目指す事例
今から実際に私がコンサルティングで関わった製造業の方たちの一例をお伝えいたします。※競合会社を増やしたくないので、商品名は出しません。
オーダーメイド商品で年商2000万越え
関西のあるステンレス加工会社では、オリジナルオーダーメイド商品を開発しました。サイトを作り販売していたものの、思ったように売上が伸びず・・・。そんな頃に私が名古屋で行ったセミナーにご参加いただきました。それをきっかけに、売上は年商200万円から、なんと2000万円まで伸ばすことができました。
1つ30万円のニッチ商品をネット販売
関東の金属加工会社の方も、類を見ないオリジナル商品を作りネット通販で販売し始めました。1つ30万円もする商品ながら、年間100本売れるヒット商品になりました。日本でこの商品を作ろうと思えば作れる会社は何社もあると思いますが、実際に販売しているのは、この会社しかありません。
成功の入り口は通販型の商品とビジネスモデルを持つこと
小さな会社が脱下請けを狙う時には、オリジナル商品を持つことが必須です。オリジナル商品を作り直販することです。どうして多くの会社が脱!下請け!ができないか?と言えば直接お客様を相手にすることが出来ないからです。理由は2つ。
・お客様に直接販売できる商品が無い
・直接購入して頂けるお客様を集めることが出来ない
ということです。
なので、商品を持ち、自社独自でのマーケティングを行うことです。
製造業が脱下請けを目指す場合は
単品・高単価、ネット販売中心で行うことです。
商圏を広く持つことです。近所の人が購入すれば必要な売上が賄えるような日常的な商品を扱わない、ということです。遠方であっても購入したい人がやってくる、あるいは探して購入して頂けるようにしていくことです。
つまり、通販的な商品とビジネスモデルを持つことです。
飲食店・小売店の場合は
話のついでに・・・という感じになってしまいますが、飲食店や小売店も同じようなステップを踏んでいくと売上が一気に跳ね上がります。
その場合は次のような商品を扱うと良いです。
・季 節 商 品
例えば、季節商品の代表として、おせちなどは良いです。イタリアンレストランでもホテルでも成功しています。
・リピート商品
例えば 頒布会方式で商品を販売することです。過去には酒屋さんが日本酒やワインの頒布会を行ってうまく行きました。
お客様は神様ではありません!
お客様は神様ではありません。お客様に選ばれることが必要なのではなく、まず私たちが自社にふさわしいお客様を選ぶことです。そのお客様たちに喜んでいただけるような取り組みを行うことでビジネスの輪はうまく回っていきます。
私の中には、一方的に単価を切り下げられたり、理不尽な仕事の振り方をしてきた親会社になすすべもなく従わざるを得なかった両親の姿がいまだにあります。その時に何もできなかったことが今でも悔しいです。
かつての私の両親のような苦しみを味わっている経営者の方たちの力になりたいと思っています。
今の時代はとても幸せで、自分でお客様と繋がろうと思えばできる時代です。
いつまでも下請けで苦しい想いをするのであれば、思い切って自社商品を開発して自分たちの力で販売する道を歩み始めることをお勧めします。いきなりそれで今までの売上と利益を上げていくのは難しいかもしれませんが、自分たちの力で市場に受け入れられたことの充実感を感じることができることでしょう。